アップサイクルと古物商許可:サンワードが目指す持続可能なモノづくり
アップサイクルとは?新しい価値を生み出す循環型のモノづくり
近年、環境意識の高まりとともに注目を集める「アップサイクル」。
この言葉を耳にする機会も増えましたが、具体的にどのような取り組みかご存じですか?
『アップサイクル』とは、
不要になった製品や廃棄予定の素材を、単に再利用するだけでなく、
新たなアイデアやデザイン、加工技術を加えることで、元の素材以上の価値を持つ製品へと生まれ変わらせる取り組みです。
リサイクル(Recycle)が素材を分解して原料に戻すプロセスであるのに対し、
アップサイクルは素材の特性や歴史的背景をそのまま活かしながら、
より高い付加価値を持つ新しい製品を創造する点が大きな特徴です。
例えば、
・製造過程でキズや厚みのブレにより規格外品となった消防用ホースを、丈夫で味わい深いバッグに生まれ変わらせる。
・廃車となった鉄道車両の部品を解体・洗浄し、日常使いに最適なバッグやポーチとして再生する。
このように、捨てられるはずだった素材に新たな命を吹き込み、唯一無二の物語を持つ製品として再び社会に送り出すこと
——それがアップサイクルなのです。
環境負荷の軽減はもちろん、素材が持つ歴史や物語性を次の世代へとつなぐ、持続可能なモノづくりの形として、世界中で注目されています。
古物商許可とは?中古品を扱うために必要な法的資格
アップサイクル事業を展開する上で、多くの企業が取得しているのが「古物商許可」です。では、古物商許可とは具体的にどのようなものかご存じですか?
古物商許可の基本
古物商許可とは、
中古品(古物)を営利目的で売買・交換する事業を行う際に、古物営業法に基づいて取得が義務付けられている許可です。
この許可は、各都道府県の公安委員会が管轄しており、盗品の流通防止や取引の透明性確保を目的としています。
古物とは?
古物営業法では、以下のようなものが「古物」に該当します。
- 一度使用された物品
- 使用されていなくても、一度でも取引された中古品
- これらに幾分の手入れをした物品
つまり、新品として製造されたもの以外で、何らかの形で市場に流通した物品を仕入れて販売する場合には、原則として古物商許可が必要になります。
許可が必要なケース
- 中古品を買い取って販売する
- 中古品を買い取って修理・加工して販売する
- 中古品の委託販売を行う
- インターネットで中古品を継続的に販売する
許可が不要なケース
- 完全に無償で引き取った物品を販売する場合
- 自分が使用していた物を不定期に販売する場合(営利目的でない)
古物商許可の取得方法
古物商許可を取得するには、営業所を管轄する警察署を通じて、都道府県の公安委員会に申請を行います。申請には以下の書類が必要です。
- 許可申請書
- 略歴書
- 誓約書
- 住民票の写し
- 身分証明書
- 営業所の賃貸借契約書(賃貸の場合)
申請から許可まで通常40日程度かかり、許可取得後は営業所への標識掲示や取引台帳の記録保管などの義務が生じます。
なぜアップサイクル事業に古物商許可が必要なのか?
「新しい製品を作っているのに、なぜ古物商許可が必要なの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、アップサイクル事業は中古素材を仕入れて加工・販売するビジネスモデルであるため、古物営業法の規制対象となるんです!!
アップサイクルと古物営業法の関係
古物営業法では、「古物を買い取って修理等して売る」ことについても古物商許可が必要としています。ここでいう「修理等」には、リメイク、リペア、そしてアップサイクルも含まれると解釈されています。素材を「仕入れる」段階で対価を支払っている場合、その後どのように加工しようとも、古物商許可が必要ということになります。
古物商許可を取得するメリット
アップサイクル事業者が古物商許可を取得することには、法令遵守以外にも以下のようなメリットがあるんです!
- 仕入れルートの拡大
古物市場(業者向けオークション)への参加が可能になり、希少性の高い素材を安定的に仕入れられる - 事業の信頼性向上
許可証の掲示により、適法に事業を行っていることを顧客や取引先に証明できる - 取引先との関係構築
企業や自治体から大量の廃棄素材を正式に買い取る際、許可の有無が取引条件になることも - 事業拡大の基盤
インターネット販売や実店舗展開など、多様な販売チャネルに対応できる
サンワード株式会社のアップサイクルへの想い
(詳しく知りたい方はこちらへ!https://www.sunward-beban.co.jp/watashitachi/)
私たちサンワード株式会社は、大阪を拠点とするカバン・袋物の縫製メーカーとして、長年OEM事業を展開してまいりました。
しかし、「自分たちの想いや価値観を直接届けるモノづくりがしたい」という強い思いから、アップサイクル事業への挑戦を決意しました。
捨てられるはずだった素材との出会い
約10数年前、規格外となり大量に廃棄されている消防用ホースに出会いました。
本来であれば使用に適さないという理由で処分されてしまうその素材が、
まだ十分に強度や特性を備えていることを知り、
「このまま廃棄されてしまうのはもったいない。私たちの手で新たな命を吹き込めないだろうか」と強く心を動かされました。
扱いづらい素材であるがゆえに縫製方法について試行錯誤しましたが、
約1年という歳月をかけて、
ついに「消防用ホースのアップサイクルバッグ」として完成させることができました。
広がるアップサイクルの可能性
この成功をきっかけに、私たちのアップサイクル事業は本格的に始動しました。現在では、消防用ホースだけでなく、以下のような多様な素材を活用しています:
- 廃車鉄道車両の部品(つり革、連結ほろ、座席シート生地、ロールカーテンなど)
- 使用済み懸垂幕(選挙投票を呼びかける懸垂幕など)
- 作業着や制服(企業で役目を終えた作業着)
これらの素材一つひとつには、それぞれの現場で活躍してきた歴史と物語があります。
その背景を大切にしながら、職人の手仕事によって新たな価値を持つ製品へと生まれ変わらせることが、私たちの使命だと考えています。
適法なアップサイクル事業のために:古物商許可の取得
サンワード株式会社では、アップサイクル事業を適法かつ透明性高く運営するため、
古物商許可を取得しています。
当社の古物商許可情報
- 許可公安委員会:大阪府公安委員会
- 許可証番号:第62110R051970号
- 事業者名:サンワード株式会社
この許可により、多様な組織から使用済み素材などを正式に引き取り、アップサイクル製品として再生・販売することができています。
なぜ古物商許可を取得したのか
アップサイクル事業は、中古素材を仕入れて加工・販売するビジネスモデルです。
古物営業法では、このような事業形態に対して古物商許可の取得を義務付けており、
無許可での営業は法律違反となります(最大3年の懲役または100万円以下の罰金)。
私たちは、法令を遵守し、社会的に信頼される企業として事業開始に伴い許可を取得しました。
今だからこそですが、ESGの取り組みにも繋がってくるんです!
(サンワードのESGの取り組みはこちら https://www.sunward-beban.co.jp/sdgs/)
サンワードのアップサイクル製品:素材の物語を次世代へ
代表的な製品シリーズ
1. 消防用ホースシリーズ「RAU-RAU-G -second hose-」
製造過程でキズや厚みのブレにより規格外品となった消防用ホースを、バッグやポーチなどに生まれ変わらせました。独特の質感と耐久性を持ち、使い込むほどに味わいが増す逸品です。
受賞歴:大阪製ブランド認定
2. 鉄道車両部品シリーズ「RAU-RAU-G HAITETSU」
廃車となった鉄道車両から取り外されたつり革、連結ほろ、座席シート、ロールカーテンなどを活用。鉄道ファンはもちろん、その車両に思い出を持つ方々から大きな反響をいただいています。
3. 懸垂幕アップサイクルシリーズ
選挙投票を呼びかける懸垂幕を、トートバッグやエコバッグに再生。1枚の懸垂幕から裁断され作られているためすべてが1点ものとなり、唯一無二な仕上りとなっている点が特徴です。
モノづくりの過程にも社会的価値を
私たちは、製品そのものだけでなく、製造プロセスにおいても社会貢献を目指しています:
- 障がいのある方々との共同制作:一緒にモノづくりを行うことで、雇用創出と社会参加の機会を提供
- 発展途上国支援との連携:生産者の持続的な生活向上を支え、雇用創出へ貢献
- 熟練職人の技術継承:若い世代への技術伝承により、日本の縫製技術を未来へつなぐ
私たちが目指すもの:笑顔を生むアップサイクル
サンワード株式会社が大切にしているのは、
「喜ばれること」「環境への貢献」「笑顔を生むこと」という3つの想いです。
アップサイクルという手法を通して、捨てられるはずだった素材に新たな命を吹き込み、
その素材が持つ本来の可能性や背景を大切にしながら、
心に残る価値を持つ製品を届けたいと考えています。
商品を手にした方が自然と笑顔になるような、小さな喜びや感動を生むモノづくり。
それが、私たちが目指すアップサイクルの形です。
絵本「えがおになーれ」に込めた想い
私たちの想いをより多くの方に届けたいという気持ちから、環境について考える物語を絵本「えがおになーれ-ビーバンとえがおのたね-」として制作しました。
キャラクター「ビーバン」とともに、捨てられるはずだったものたちが新しい価値を見つけていく物語です。
子どもから大人まで、心にそっと寄り添えるようなあたたかい物語として、
アップサイクルの意義を伝えています。
アップサイクル事業を始めたい方へ:必要な準備と心構え
アップサイクル事業に関心をお持ちの方へ、いくつかのアドバイスをお伝えします。
1. 法的準備を整える
- 古物商許可の取得:素材を有償で仕入れる場合は必須
- 事業計画の策定:仕入れルート、加工方法、販売チャネルを明確に
2. 素材との出会いを大切に
- 廃棄予定の素材には、それぞれの歴史と物語がある
- 素材提供者との信頼関係構築が、安定した仕入れにつながる
3. 技術と創造性の融合
- 素材の特性を活かす加工技術が重要
- デザイン性と実用性のバランスを追求
4. 物語を伝える
- 素材の背景や製品に込めた想いを発信することで、共感を生む
- SNSやウェブサイトを活用した情報発信が有効
まとめ:持続可能な社会を目指して
アップサイクルは、単なる環境対策ではありません。
捨てられるはずだった素材に新たな価値を見出し、モノの背景にある物語を次の世代へとつなぐ、持続可能なモノづくりの形です。
そして、このような事業を適法かつ透明性高く運営するためには、古物商許可の取得が不可欠です。
私たちサンワード株式会社は、許可を取得することで、法令を遵守しながら、社会に信頼される企業として、アップサイクル事業を展開しています。
これからも、アップサイクルを通じて笑顔を広げていく——それが、私たちサンワードの使命です。
サンワード株式会社について
所在地:大阪市天王寺区生玉町2番3号 小出ビル2F
事業内容:カバン・袋物の縫製、アップサイクル製品の企画・製造・販売、OEM事業
古物商許可:大阪府公安委員会 第62110R051970号
実店舗「ジョイブファクトリー」
営業時間:9:00~18:00(土日祝除く)
TEL:06-6773-3010